JOURNAL
顔が見えるものづくり
地方に車で訪れた際は、その土地の道の駅に立ち寄ることが私の旅のお決まりになっています。農産物が新鮮なのはもちろんですが、生産者の名前が添えられているだけで、不思議と信頼できるのです。 家具においても、「どこで、だれがつくったか」が見えることが信頼感や愛着につながると考えています。製品の保証書にすべてのパーツの製造元を記載したり、JournalやInstagram等で工場のことを発信しているのは、そのためです。 たとえばENGAWA bedは、北海道産の木材を、地元の製材所で加工し、家具工場で制作しています。決して大きな工場ではありませんが、ベテランの職人さんを中心に若手も加わり、現場には静かな活気があります。お伺いするたび、ひとつひとつ丁寧に仕上げていく姿を見ては、本当にこの工場にお願いしてよかったと思うのです。(みなさんシャイで写真には写りたがらないのですが笑) 私自身、家でこのベッドを使っています。足が木に触れたとき、あるいはリビングからふと目に入ったとき、あの工場の人たちの姿が思い浮かんで、満たされた気持ちになるのです。ものを通して、つくり手とつながっているような感覚です。 事業を続けるうえで、効率や採算から目を背けることはできません。それでもデザイナーとして、職人さんと一緒に数字には表れない価値を追求したい。そんな作り手の姿勢を知ってほしい。その価値観に共感してくれる人が少しずつ増えていったら、これほどうれしいことはありません。
顔が見えるものづくり
地方に車で訪れた際は、その土地の道の駅に立ち寄ることが私の旅のお決まりになっています。農産物が新鮮なのはもちろんですが、生産者の名前が添えられているだけで、不思議と信頼できるのです。 家具においても、「どこで、だれがつくったか」が見えることが信頼感や愛着につながると考えています。製品の保証書にすべてのパーツの製造元を記載したり、JournalやInstagram等で工場のことを発信しているのは、そのためです。 たとえばENGAWA bedは、北海道産の木材を、地元の製材所で加工し、家具工場で制作しています。決して大きな工場ではありませんが、ベテランの職人さんを中心に若手も加わり、現場には静かな活気があります。お伺いするたび、ひとつひとつ丁寧に仕上げていく姿を見ては、本当にこの工場にお願いしてよかったと思うのです。(みなさんシャイで写真には写りたがらないのですが笑) 私自身、家でこのベッドを使っています。足が木に触れたとき、あるいはリビングからふと目に入ったとき、あの工場の人たちの姿が思い浮かんで、満たされた気持ちになるのです。ものを通して、つくり手とつながっているような感覚です。 事業を続けるうえで、効率や採算から目を背けることはできません。それでもデザイナーとして、職人さんと一緒に数字には表れない価値を追求したい。そんな作り手の姿勢を知ってほしい。その価値観に共感してくれる人が少しずつ増えていったら、これほどうれしいことはありません。
nuff Living Stories 01|家づくりのプロが描いた、家族とつながる暮らし方
nuffのプロダクトが私たちの手を離れ、誰かの暮らしの風景の一部として物語を紡いでいく。 その物語をたどるようにオーナーさんのご自宅を訪ね、空間づくりと暮らしのヒントを紐解く「nuff Living Stories」をお届けします。 今回お話を伺ったのは、ハウスメーカーの営業職として数多くの注文住宅に携わり、昨年、信頼する建築士と共に自邸を建てられた榎田さん。 敷地は、周辺に田園風景が広がる穏やかなエリア。都心へのアクセスもしやすく、静けさと利便性を兼ね備えた場所です。この土地を選ぶ際、ご夫婦でさまざまな視点から話し合われたと言います。 「緑に囲まれたところで子育てしたいという思いがあり、地方移住も検討していました。でも両親との距離や学校選びを考えると、都心にも出やすいほうがいいなと。ちょうどたまたまこの土地がポンっと出てきたんです。」 2階リビングの開口部からは、眺望が抜け、周囲の風景がゆるやかに入り込んできます。 居場所をつくり、気配をつなぐ 家づくりにおいて描いた理想の生活像を伺いました。 「家の中に“居場所”がたくさんあって、家族それぞれがその時の気分で居場所を選べるようにしたかった。」 リビング・ダイニング・キッチン・ワークスペースは役割ごとに分かれつつも、空間のどこかでつながっている。そのため家族の気配を感じながらも、お互いの時間を尊重できるそうです。 「居場所づくりという意味でも、ENGAWA bedのベッドサイドは、休日の朝、ゆっくり過ごすいい居場所になっています。」 ベッドサイドに腰掛けると正面に窓が広がり、休日の朝はお子さまと庭を眺めたり、陽の光を浴びたりする時間が自然と生まれるのだとか。 空間の重心を低く保つ 新居での家具の選び方についてお伺いしました。 「家具選びでは重心を低くすることを意識しました。ソファもテレビボードも高さを抑えています。旅館のような落ち着きがほしくて。」 勾配天井のリビングには、高さが低く抑えられたMASTERWALのソファが置かれて、空間の重心がどっしりと低く、空間に伸びやかさと抜けの良さを感じます。 対して、寝室はこもれるような安心感があります。 「ベッドも高さが低いものを探していたところ、ENGAWA bedを見つけました。妻もひと目で気に入って。北欧と和のテイストで揃えたかったので、素材感や色合いも理想通りでした。」 余白を残す 家の中は物が少なく、生活感がほとんど感じません。...
nuff Living Stories 01|家づくりのプロが描いた、家族とつながる暮らし方
nuffのプロダクトが私たちの手を離れ、誰かの暮らしの風景の一部として物語を紡いでいく。 その物語をたどるようにオーナーさんのご自宅を訪ね、空間づくりと暮らしのヒントを紐解く「nuff Living Stories」をお届けします。 今回お話を伺ったのは、ハウスメーカーの営業職として数多くの注文住宅に携わり、昨年、信頼する建築士と共に自邸を建てられた榎田さん。 敷地は、周辺に田園風景が広がる穏やかなエリア。都心へのアクセスもしやすく、静けさと利便性を兼ね備えた場所です。この土地を選ぶ際、ご夫婦でさまざまな視点から話し合われたと言います。 「緑に囲まれたところで子育てしたいという思いがあり、地方移住も検討していました。でも両親との距離や学校選びを考えると、都心にも出やすいほうがいいなと。ちょうどたまたまこの土地がポンっと出てきたんです。」 2階リビングの開口部からは、眺望が抜け、周囲の風景がゆるやかに入り込んできます。 居場所をつくり、気配をつなぐ 家づくりにおいて描いた理想の生活像を伺いました。 「家の中に“居場所”がたくさんあって、家族それぞれがその時の気分で居場所を選べるようにしたかった。」 リビング・ダイニング・キッチン・ワークスペースは役割ごとに分かれつつも、空間のどこかでつながっている。そのため家族の気配を感じながらも、お互いの時間を尊重できるそうです。 「居場所づくりという意味でも、ENGAWA bedのベッドサイドは、休日の朝、ゆっくり過ごすいい居場所になっています。」 ベッドサイドに腰掛けると正面に窓が広がり、休日の朝はお子さまと庭を眺めたり、陽の光を浴びたりする時間が自然と生まれるのだとか。 空間の重心を低く保つ 新居での家具の選び方についてお伺いしました。 「家具選びでは重心を低くすることを意識しました。ソファもテレビボードも高さを抑えています。旅館のような落ち着きがほしくて。」 勾配天井のリビングには、高さが低く抑えられたMASTERWALのソファが置かれて、空間の重心がどっしりと低く、空間に伸びやかさと抜けの良さを感じます。 対して、寝室はこもれるような安心感があります。 「ベッドも高さが低いものを探していたところ、ENGAWA bedを見つけました。妻もひと目で気に入って。北欧と和のテイストで揃えたかったので、素材感や色合いも理想通りでした。」 余白を残す 家の中は物が少なく、生活感がほとんど感じません。...
Case Study 02 - 建築と家具
建築家・原田収一郎さんが手掛けられた住宅にて、ENGAWA bed を採用いただきました。 原田さんの建築は、内と外をつなぐ開口部の作り方や、面の取り合いの細やかな処理が印象的です。そうした丁寧な仕事が、美しい空間を生み出しているように思います。手触りのある本物の素材を選ばれていることも、その空間の魅力を支えています。 そのような空間には、やはり本物の家具がふさわしいと感じます。シンプルでありながら細部にまで神経が行き届いた家具は、空間と響き合い、暮らしの質を引き上げる存在となります。ENGAWA bed は、まさにそのレベルを目指して開発してきました。 実際にENGAWA bed をご愛用くださっている方には、建築士をはじめ建築の専門家が多くいらっしゃいます。日々空間づくりに向き合うプロフェッショナルに選んでいただけることは、大きな励みであり、私たちにとって何よりの喜びです。
Case Study 02 - 建築と家具
建築家・原田収一郎さんが手掛けられた住宅にて、ENGAWA bed を採用いただきました。 原田さんの建築は、内と外をつなぐ開口部の作り方や、面の取り合いの細やかな処理が印象的です。そうした丁寧な仕事が、美しい空間を生み出しているように思います。手触りのある本物の素材を選ばれていることも、その空間の魅力を支えています。 そのような空間には、やはり本物の家具がふさわしいと感じます。シンプルでありながら細部にまで神経が行き届いた家具は、空間と響き合い、暮らしの質を引き上げる存在となります。ENGAWA bed は、まさにそのレベルを目指して開発してきました。 実際にENGAWA bed をご愛用くださっている方には、建築士をはじめ建築の専門家が多くいらっしゃいます。日々空間づくりに向き合うプロフェッショナルに選んでいただけることは、大きな励みであり、私たちにとって何よりの喜びです。
ベッド下の掃除をどう考えるか
ベッドをご検討中のお客様と日々やり取りする中で、「ベッド下の掃除はどう考えていますか?」というご質問を頂くことがあります。おそらくENGAWA bedは市販のベッドに比べると高さが低い設計のため、ベッド下の掃除がしにくいと受け止められているからだと思います。 結論としましては、フロアワイパーでの掃除を想定している、というのが私たちの回答となります。その考え方に基づいてベッド下の床からの有効高さは5.5cmに設定しています。 今日はこの設計仕様に至った経緯をお話しようかと思います。 私自身、キレイ好きな性格でして、毎日部屋の掃除をしないと気がすまないということもあり、当初は「毎日ベッド下の掃除ができること」をベッド開発において重要視していました。 しかし、試作品を実際に使って実際に毎日生活してみると、ベッド下の奥の方まで入り込む量はホコリは少ないことが分かってきまして、普段の掃除は張り出したベッドサイドの下部分のみフロアワイパーを掛けて、月に数回程度、奥の方までフロアワイパーを滑らすという掃除ルーティンに落ち着きました。 いっそのこと、ベッド下を閉じてしまい、ホコリが入らないようにする設計も検討したのですが、通気を妨げることにもなりカビの発生リスクが上がってしまいます。 以上から、通気性を確保するためにベッド下はオープンな構造とするが、高さはフロアワイパーが入る最低限の高さに留め、建築空間と一体化するような「低く、広い」現在のプロポーションを大切にする、という結論に至りました。そのほうが愛着を持って長く使えると考えたからです。 一方で、ロボット掃除機が入るようにしたいというご要望にお応えしたいと考えておりまして、高さを更に5cm程度上げるための脚(後付できる別商品)を今年前半にリリースする計画になっております。 下の写真はそのプロトタイプを装着した写真です。ENGAWA bedは脚が見えない浮いたようなデザインが特徴ですが、後付の脚を取りつけた姿は、より日本建築である縁側らしいものとなる予定です。 [2025.04.01 追記]ENGAWA bedの高さを5cm高くする脚「ENGAWA no ASHI」を発売しました。詳しくは以下の商品ページをご確認下さい。 商品を見る→
ベッド下の掃除をどう考えるか
ベッドをご検討中のお客様と日々やり取りする中で、「ベッド下の掃除はどう考えていますか?」というご質問を頂くことがあります。おそらくENGAWA bedは市販のベッドに比べると高さが低い設計のため、ベッド下の掃除がしにくいと受け止められているからだと思います。 結論としましては、フロアワイパーでの掃除を想定している、というのが私たちの回答となります。その考え方に基づいてベッド下の床からの有効高さは5.5cmに設定しています。 今日はこの設計仕様に至った経緯をお話しようかと思います。 私自身、キレイ好きな性格でして、毎日部屋の掃除をしないと気がすまないということもあり、当初は「毎日ベッド下の掃除ができること」をベッド開発において重要視していました。 しかし、試作品を実際に使って実際に毎日生活してみると、ベッド下の奥の方まで入り込む量はホコリは少ないことが分かってきまして、普段の掃除は張り出したベッドサイドの下部分のみフロアワイパーを掛けて、月に数回程度、奥の方までフロアワイパーを滑らすという掃除ルーティンに落ち着きました。 いっそのこと、ベッド下を閉じてしまい、ホコリが入らないようにする設計も検討したのですが、通気を妨げることにもなりカビの発生リスクが上がってしまいます。 以上から、通気性を確保するためにベッド下はオープンな構造とするが、高さはフロアワイパーが入る最低限の高さに留め、建築空間と一体化するような「低く、広い」現在のプロポーションを大切にする、という結論に至りました。そのほうが愛着を持って長く使えると考えたからです。 一方で、ロボット掃除機が入るようにしたいというご要望にお応えしたいと考えておりまして、高さを更に5cm程度上げるための脚(後付できる別商品)を今年前半にリリースする計画になっております。 下の写真はそのプロトタイプを装着した写真です。ENGAWA bedは脚が見えない浮いたようなデザインが特徴ですが、後付の脚を取りつけた姿は、より日本建築である縁側らしいものとなる予定です。 [2025.04.01 追記]ENGAWA bedの高さを5cm高くする脚「ENGAWA no ASHI」を発売しました。詳しくは以下の商品ページをご確認下さい。 商品を見る→
ENGAWA bed 開発ノート
現代のようにベッドで眠るというライフスタイルが日本で登場したのは、明治から大正に向かう頃と言われています。現在日本で一般的に使われているベッドは、基本的にはこの西洋式を踏襲しています。しかし、日本の文化・風土に合ったベッドのカタチがあるのではないかとずっと考えていました。そうしてたどり着いたのがこの「低く、広い」すのこベッドです。 日頃から在宅ワークが多い私は、朝、昼、夕と、家の中で場所を転々と移動しながら仕事をしています。そんな「在宅ノマドワーカー」にとって、ENGAWA bedのサイドフレームは大切なワークスペースの一つ。低い座が新鮮で、集中力が戻ってきます。もちろん、本を読んだり、リラックスの場所として、ソファのような使い方もしています。 その佇まいにおいても、家の中のくつろげる場所という意味でも、まさに現代の「縁側」と言うことができるかもしれません。 この開発ノートでは、開発プロセスでの気付きや、デザインの裏側の意図を記録しておこうと思います。 肌なじみがよいロースタイル 日本では畳の文化、床座のスタイルです。畳の上に直接布団を敷いて就寝してきました。そのためか高さが低いベッドの方が肌なじみが良い気がしています。感度が高いライフスタイルホテルなどでロースタイルベッドをよく目にするのもそのためでしょうか。 一方で、自宅用に市販のローベッドを探してみても、なかなか思い通りのものが見つけられませんでした。ベッドを部屋のインテリアとしてまとめ上げるような、スッとラインが通ったベッドフレームを作ろうと思いました。 寝心地も、居心地も、いいベッド 都心のマンションは家賃が高いこともあって、わたしはこれまで一貫して「小さな部屋」に住んできました。 大学進学と同時にはじめたひとり暮らしを始めたお部屋は、6畳の洋室にこじんまりとしたキッチンが付いた、典型的な1Kの間取り。その後何度か引っ越しを経た今でも、35平米の賃貸マンションに夫婦ふたり暮らしです。 当時からインテリアが好きだった私は、家具を置いたらすぐに一杯になってしまうスペースを相手に、狭くてもすっきり心地よい空間にするにはどうしたらよいか、ありとあらゆる方法を試してきました。 そうして20年(年を取ったもんだ!)の約試行錯誤を経た今、小さな部屋でもインテリアを楽しむコツをひとつ挙げるとすれば「兼用の推進」を真っ先に推します。ひとつで二役、三役と、多用途に使える道具を選ぶことで、物を減らすことができるからです。 そして、最もスペースを取る家具と言ってもいいベッドをマルチユース化するのが、このENGAWA bedです。そのフレームは、複数の役割を担うことができる、まさにベッドとサイドテーブルとソファをひとつにしたプロダクトと言うことができます。狭い部屋に住んでいる方にこそ使ってほしいと思います。 左右非対称 さっそくCADに向かい、思い描いたイメージを形に落としていきます。そして、ホームセンターで入手できる杉の無垢材を使ってプロトタイプを作りました。これを実際に自宅で使ってみて、使い心地を検証しました。ここでいくつか大きな気付きを得られました。 まずは壁付対応。当初のデザインだと、マットレスの側面を壁付けして置きたい場合、すのこが見えてしまう点が気になっていました。特に私が住んできたようなコンパクトな部屋だとそういう置き方をするケースが多いはず。 単純にフレームの幅を内側に広げると解決はできますが、すのこエリアが小さくなり、マットレスの通気を妨げてしまいますし、材料コストも上がります。 そこで、「上下対称・左右非対称」のカタチで解決しました。(逆側に寄せたい場合はフレームを180度回転) サイズ選びは余白選び もう一つ気になったのは、「余白スペースに座る」を実現しようとすると、フレーム幅が30cm近く必要となり、ベッドがかなり大型化してしまうこと。 そこで、ご自宅のスペース事情に応じて、余白の大きさを選べるようにサイズ展開を設計しました。 例えばダブルサイズのマットレスを使う場合、座れるほどのたっぷりの余白が欲しい場合は「w1680」を、ほどほどの余白で良い場合は「w1480」を選ぶ、といった具合に、同じマットレスサイズでも、余白の大きさを選ぶことができます。 ちなみに、このサイズの呼び名は、通常の、シングル、ダブルと言った呼び方ではなく、ベッドフレームの外寸幅に基づいた表記にしました。マットレスに合わせてフレームサイズを選ぶ、のではなく、ほしい余白からフレームサイズを選ぶ、という考え方をして欲しかったためです。 選べる3つの余白スタイル 以上のブラッシュアップを経て、主に3種類の余白スタイルを選べるベッドフレームとなりました。 A. 両サイドほどほど余白ベッドの両サイドにそれぞれ14cm幅の余白を作るスタイル。単行本やめがねを置くことができます。 B....
ENGAWA bed 開発ノート
現代のようにベッドで眠るというライフスタイルが日本で登場したのは、明治から大正に向かう頃と言われています。現在日本で一般的に使われているベッドは、基本的にはこの西洋式を踏襲しています。しかし、日本の文化・風土に合ったベッドのカタチがあるのではないかとずっと考えていました。そうしてたどり着いたのがこの「低く、広い」すのこベッドです。 日頃から在宅ワークが多い私は、朝、昼、夕と、家の中で場所を転々と移動しながら仕事をしています。そんな「在宅ノマドワーカー」にとって、ENGAWA bedのサイドフレームは大切なワークスペースの一つ。低い座が新鮮で、集中力が戻ってきます。もちろん、本を読んだり、リラックスの場所として、ソファのような使い方もしています。 その佇まいにおいても、家の中のくつろげる場所という意味でも、まさに現代の「縁側」と言うことができるかもしれません。 この開発ノートでは、開発プロセスでの気付きや、デザインの裏側の意図を記録しておこうと思います。 肌なじみがよいロースタイル 日本では畳の文化、床座のスタイルです。畳の上に直接布団を敷いて就寝してきました。そのためか高さが低いベッドの方が肌なじみが良い気がしています。感度が高いライフスタイルホテルなどでロースタイルベッドをよく目にするのもそのためでしょうか。 一方で、自宅用に市販のローベッドを探してみても、なかなか思い通りのものが見つけられませんでした。ベッドを部屋のインテリアとしてまとめ上げるような、スッとラインが通ったベッドフレームを作ろうと思いました。 寝心地も、居心地も、いいベッド 都心のマンションは家賃が高いこともあって、わたしはこれまで一貫して「小さな部屋」に住んできました。 大学進学と同時にはじめたひとり暮らしを始めたお部屋は、6畳の洋室にこじんまりとしたキッチンが付いた、典型的な1Kの間取り。その後何度か引っ越しを経た今でも、35平米の賃貸マンションに夫婦ふたり暮らしです。 当時からインテリアが好きだった私は、家具を置いたらすぐに一杯になってしまうスペースを相手に、狭くてもすっきり心地よい空間にするにはどうしたらよいか、ありとあらゆる方法を試してきました。 そうして20年(年を取ったもんだ!)の約試行錯誤を経た今、小さな部屋でもインテリアを楽しむコツをひとつ挙げるとすれば「兼用の推進」を真っ先に推します。ひとつで二役、三役と、多用途に使える道具を選ぶことで、物を減らすことができるからです。 そして、最もスペースを取る家具と言ってもいいベッドをマルチユース化するのが、このENGAWA bedです。そのフレームは、複数の役割を担うことができる、まさにベッドとサイドテーブルとソファをひとつにしたプロダクトと言うことができます。狭い部屋に住んでいる方にこそ使ってほしいと思います。 左右非対称 さっそくCADに向かい、思い描いたイメージを形に落としていきます。そして、ホームセンターで入手できる杉の無垢材を使ってプロトタイプを作りました。これを実際に自宅で使ってみて、使い心地を検証しました。ここでいくつか大きな気付きを得られました。 まずは壁付対応。当初のデザインだと、マットレスの側面を壁付けして置きたい場合、すのこが見えてしまう点が気になっていました。特に私が住んできたようなコンパクトな部屋だとそういう置き方をするケースが多いはず。 単純にフレームの幅を内側に広げると解決はできますが、すのこエリアが小さくなり、マットレスの通気を妨げてしまいますし、材料コストも上がります。 そこで、「上下対称・左右非対称」のカタチで解決しました。(逆側に寄せたい場合はフレームを180度回転) サイズ選びは余白選び もう一つ気になったのは、「余白スペースに座る」を実現しようとすると、フレーム幅が30cm近く必要となり、ベッドがかなり大型化してしまうこと。 そこで、ご自宅のスペース事情に応じて、余白の大きさを選べるようにサイズ展開を設計しました。 例えばダブルサイズのマットレスを使う場合、座れるほどのたっぷりの余白が欲しい場合は「w1680」を、ほどほどの余白で良い場合は「w1480」を選ぶ、といった具合に、同じマットレスサイズでも、余白の大きさを選ぶことができます。 ちなみに、このサイズの呼び名は、通常の、シングル、ダブルと言った呼び方ではなく、ベッドフレームの外寸幅に基づいた表記にしました。マットレスに合わせてフレームサイズを選ぶ、のではなく、ほしい余白からフレームサイズを選ぶ、という考え方をして欲しかったためです。 選べる3つの余白スタイル 以上のブラッシュアップを経て、主に3種類の余白スタイルを選べるベッドフレームとなりました。 A. 両サイドほどほど余白ベッドの両サイドにそれぞれ14cm幅の余白を作るスタイル。単行本やめがねを置くことができます。 B....