
「部屋の模様替えに合わせてテーブル天板もコーディネートできたら...」
「でもテーブルはそんなに頻繁に買い換えられない..」
「まだ使えるテーブルをゴミにするのも心が痛む...(送料が高額になる大型家具はメルカリでも売れにくい)」
と思考がぐるぐるループすることがしばしばありました。
このジレンマが出発点となって、乗せるだけで天板を着せ替えるプロダクトが生まれたのですが、今一度、その詳細や製品開発の裏側に秘めた考え方をお伝えしようと思います。
1.どんなアイテム?
手持ちのテーブルやデスクの上に乗せるだけで、天板の質感を生まれ変わらせるテーブルトップです。お弁当の蓋のような形になっており、既存の天板を覆い一体化します。


このシンプルな縁が立ち上がっているカタチは、手持ちの天板を覆い隠すという役割に加え、koromo本体の天面のソリ防止という役割も担っています。はい、そうです、私が愛する「ひとつ二役」のデザインです。
2.リノリウムを使うことを決めていた
このプロダクトのアイディアを思いついた時から、天面の素材にはファニチャーリノリウムを使うことを決めていました。(のちにメラミン化粧板タイプも追加)なぜなら「資源の有効利用」というプロダクトテーマにもピッタリ合うし、機能性、質感の高さも、全てがハマったからです。
リノリウムとは、アマニ油など亜⿇仁油を主原料に松脂、⽊粉などすべて天然の材料から製造された、自然素材です。廃棄時には⼟に還る⽣物分解性も備えており、地球に優しいエコ素材として注目されています。加えて、木のような温かみ、柔らかさがあり、同時に、洗練されたマットな質感が魅力。イメージとしては本皮のような質感です。


さらに、植物由来の抗菌抗ウイルス性に優れるため、手に触れる機会が多いテーブルやデスクに適しています。そのデザイン性と実用性から北欧でも古くから家具材としてよく使われています。
実際使ってみると、リノリウム天板は置いたモノを引き立てくれるなぁと日々感じます。シャドウの落ち方がふわっと柔らかくて、品位があります。
カラーは雰囲気があるグレージュカラーとシックなマットブラックの2色展開です。一般的に黒のダイニングテーブルは重くなりますが、こちらはマットでソフトな質感のため、シックで大人っぽいです。


また、光の反射が柔らかので、ペンダントライトをつけてもギラギラしません。夜のテーブルウエアもふわっと引き立ててくれます。

3.すっきりした印象のホワイトカラー
リノリウムには白がなかったため、メラミンで制作しました。メラミン素材は、オフィスや飲食店でも使われる、傷や熱に強く、汚れがつきにくい素材で、日々のお手入れがラクです。暮らしに馴染むよう、ザラザラとしたマットな質感タイプを選定しました。
側面に施したオーク材との相性がよく、デスクとしても、ダイニングテーブルとしても、すっきりとした清潔感があるインテリアを演出してくれます。



4.繊細な職人の手仕事は細部に宿る
側面には天面をぐるっと囲うようにオーク無垢材を合わせたデザインになっています。シンプルが故に、この異素材の面合わせや四隅のオークどうしの面合わせの精度がそのまま表に出る、ごまかしができないデザインです。

このプロジェクトを始めてから、市販品の類似のデザインのテーブルやデスクの仕上げをしげしげ見るようになったのですが(←周りから見たらアヤシイ人)、海外で製造されている量産品は、面と面の合わせの処理が雑で、やはり値段相応な印象です。
一方、本製品は、福岡の家具工房にて、職人が丁寧に手作業で製造していることもあり、量産品にはない高い品位と温かさがあります。先日、検品の立ち会いに工場に伺ったのですが、職人さんいわく、リノリウムとオークの面合わせついては相当気を付けて制作頂いているとのことでした。(本当にありがとうございます!)
家で過ごす時間が増え、毎日目に入り、手に触れるモノだからこの「仕上げのよさ」と「どこで誰が作っているか見える」は今求められている価値なのではと考えています。

5.サイズ展開の壁
製品化にあたり、最後まで頭を悩ませたのは、サイズ展開。「手持ちのテーブルに乗せる」というコンセプトだから、サイズはオーダーメイドが理想。しかし、工場での生産性という観点から見るとからすると効率が下がり、そのまま販売価格が上がることになります。
そこで、市販のテーブルやデスクを調査し、よく売られているサイズにある程度絞り、そこから選んでもらう、セミオーダー形式としました。具体的には、幅・奥行きの組み合わせで26サイズ用意しています。
このような生産の工夫など、スタイリング以外の部分がよいものを作るためには重要だったりします。

6.未来のためにできること
私達が未来の環境のためにできることは、今ある資源を永く使い続けることです。なので、新しい製品を作ること自体にあまり前向きではありません。でも、既にある家具を生まれ変わらせ、永く使い続けるための製品には意味があるのではと思い製品化しました。
作るからにはと、サステナブルな素材である、リノリウムや自然塗料を使うなど、材料にも配慮しています。加えて、日本のものづくりを応援したいという想いから日本の工場で生産しています。
7.使用イメージ
ここからは、この製品を使ったときの雰囲気をもう少しイメージできるように使用例を見ていきます。
無印のダイニングテーブル

まずは、我が家でも使っている80×80cmの天板での使用例です。実は、これは80cm×90cm用のkoromoを使い、天板を少し広くしています。在宅勤務が増えて、リビングで仕事をする機会が増え手狭に感じていたためなのですが、これだけでも結構広くなったと感じ、快適になりました。既存の天板の上に乗せるだけでも、動いたりズレることがないように、製品の裏面に滑り止めシートを施しました。これが狙い通りいい仕事をしてくます。
無印のテーブル


最後に無印の折りたたみテーブル120cmでの使用例です もともとはオークの突板の天板が使われているテーブルです。こちらにペブルグレーとブラックのkoromoを装着してみました。 リノリウム、オーク無垢材、黒のスチールの組み合わせの相性がよいです。

友人宅におじゃまして色や質感の相性を検証してみたのですが、黒のアイアンやステンレスの足との相性はとても良かったです。もちろん、木製の脚との相性も間違いないです。KOROMO table topの側面のオークの着色カラーを選べるため、お手持ちの家具に合わせてお選びいただけます。
しばらくは不定期の受注生産の予定です。
それでは、koromo table topをよろしくお願いします。